業種 IT機器等に対する、電話によるサポート
企業団体名 A社
従業員数700名
背景
- 3か月に3割のスタッフが辞めていたほど離職数が多かった。
- スタッフは、会社が目標だけを押しつけ、離職者を減らす努力、職場の改善に取り組まない対応に、不信感を募らせていた。
- ゴミ箱を蹴る、大声を出す、受話器を投げつけるなど、スタッフのストレス度は高く、リーダー、マネージャーも精神的に辛い状態が続き、スタッフとのコミュニケーションがうまくとれていないと感じていた。
- お客様を待たせしないために<呼び出し音5回以内>で電話を取る事が数値目標であったが、配置人数が2割多いにも関わらず、数値目標を常態的に下回っていた。
学習と活用
60名を統括する1人のマネージャーがエニアグラムコーチングの研修を受けた。 1日の研修で本人が自分のタイプを理解し、今までのコミュニケーションツールとの違いを感じ、スタッフ全員にタイプ診断を受けさせ、全員の気質の情報を得た。その後、各気質に対するコミュニケーションの学習を続けつつ、毎日エニアグラムコーチングをスタッフ相手に実践した。
具体的にはコミュニケーションに関して、会話の中で「ズレ」「モレ」「トビ」がスタッフのタイプごとに特徴があることを理解した上で、新しい指導方法に取り組んだ。
例えば、あるタイプ(5)のスタッフは、お客様が、コンピュータの操作が分からないイライラ、悩みを共感出来ずに理屈だけで説明しようとするので、お客様を怒らせやすい。その行動理由(理屈で説明する)が、気質から来ることに着目し、論理的な話よりも、どこの部分でお客さまが苦しんでいるか、困っているのかに焦点をあて、お客様の気持ち、感情を充分に共感してから内容に入ることで、サポートの解決が早く出来ると指導した。
また、あるタイプ(2)のスタッフは、必要外の会話が多く、話が長引きがちであるため、時間的目標が達成出来なかった。 「会話が長くなる原因は、あなたの気質の特徴による」と説明した。また「もし、もっと時間が短くても十分お客様の役に立っている」と何度も何度も繰り返し指導することで、数値目標が達成できるようになった。
あるタイプ(4)のスタッフは、本人のイメージで話をするので、何を言っているのか話の意図が伝わらず、普段のスタッフ同士の会話でも仲間はずれになる傾向が見受けら、また業務改善のシナリオを提案したにもかかわらず、グループリーダーに理解されなかった。
そこでマネージャーは当スタッフがタイプ(4)独特の話し方をする気質であることを知り、会話のコツを掴んだ。その結果、うまくコミュニケーションが取れるようになった、スタッフはもともと聡明な人間であったため、改善点は的を射ており、効果的な業務改善が達成され、本人の評価は高くなった。
さらに、マネージャーがタイプ(4)とのコミュニケーション方法を、他のスタッフにも理解出来るように指導した。また業務改善がチームに良い結果をもたらしたこともあり、チーム内の不協和音が改善しスタッフの一体感が増した。
効果
- 離職者が減り、トレーニング費用として毎月90万円のコストが削減できた。
- 20名いたスタッフが17名で業務をこなせるようになり、給与の20%が削減できた。
- チーム内の雰囲気が明るく元気になった。
- お客様やスタッフ間のコミュニケーションがスムーズになり、結果的に問題解決の時間が短くなった。<呼び出し音5回以内>で電話を取る目標であったのが、<平均呼び出し音2回>で電話を取れるようになるなど、数値目標の105%を常に達成できる状態が続いている。リーダーとの相互協力も密になり、積極的な業務改善の提案や、お客様アンケートによる満足度調査の数値も上昇した。